上智大学短期大学部 Sophia University Junior College Division

キャンパスリポート

サービスラーニング ブラッシュアップ講座を実施しました!

2023年1月19日

サービスラーニングセンターでは、サービスラーニング活動(SL活動)に参加する学生を主な対象とし、年に2回程度、ブラッシュアップ講座を行っています。

2023年15日(木)に、年明け早々ではありますが、オーストラリア在住の日本語教師で絵本作家でもある中野千野氏をキャンパスにお招きし、「絵本の読み聞かせで知る、複数言語環境の子ども」と題したブックトークを開催しました。教職員も含めて約40名が参加しました。

ブックトークは中野氏のデビュー作である『みぃちゃん、日本語できるよ』を素材に進めました。

中野氏が開口一番、「この絵本にはいろいろな仕掛けがある」と呼びかけると、学生たちは絵本に釘付けに。それから中野氏ご本人が日本語と英語で読み聞かせを行い、参加者は物語を味わいました。中野氏は「複言語」や「補習校」といった重要語句も事前に説明した上で、オーストラリアの言語教育の様子などについても言及しました。

そのあと、いくつかのディスカッションポイントをもとに、グループで意見交流を行いました。学生からは率直な感想や、質問も多く聞かれました。

学生には、事後アンケートでも「子どものことばの学びをどう捉えるか」を考えてもらいました。学生からは「言語の到達度や出来不出来に関わらず、学習者が主体的に、そして楽しく言語活動に取り組むことができるような環境での学びが必要」や「子ども自身が言語を学ぶことの楽しさを知ってもらうことが大切だと考える。『楽しい、もっと知りたい』と思うことができないと、子どもの心理的な負担が重くなってしまう可能性があるため、子どもの心理状況を把握し、対話を繰り返すことで、子どもと一緒に”ことばの学び”を創っていきたい」という積極的な声が聞かれ、ほかにも、自身の体験と重ね合わせて考えている意見も見られました。

また、「今まで、多文化の中で育つ子供の悩みや苦しみというのはインタビューや取材という、いわゆる当事者以外に作成されたネット記事などを通し、知ることが多かった。しかし、なかなかお母さんに悩みを言い出せない描写など、絵本という主観的な目線から多文化の中で育つ子供の問題に触れることで彼らの抱えている不安がより一層リアルに理解できた。今までSLというのは、何かを教えることが主旨であるとずっと思っていた。しかし、今回その教育の裏側に潜んでいる問題を理解した上で、今後は教えることばかりに突き進むのではなく、『何かことばを学ぶ上で不安とかあったりする?』と相談を交えることで、子供のストレスを少しでも軽減できるようなSL活動をしていきたい。」と今後の抱負を語る学生もおり、多角的に言語教育や言語習得について考えることができた様子が伺えました。

ブラッシュアップ講座はSL活動にヒントを与え、よりよい活動ができるようになるために実施しています。今後も学生たちの活動を支援できるような企画を準備していきます。

 

 

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