キャンパスリポート
バイリンガリズムという学問分野と専門科目「バイリンガル教育」について
2017年6月12日
今回のリポートでは、短期大学部英語科で重要な学びの分野であるバイリンガリズムと、それと関連した開講科目「バイリンガル教育」について、紹介します。本学では母語と英語の二つの言語を使いこなす「バイリンガル」になりたいと志す学生が多く学んでいますが、彼女たちはそれを理論的に研究することによって、効果的な英語学習に繋げています。 まず、バイリンガルとは、二言語を使うことができる人々のことを言いますが、グローバル化の進む現代社会には、二言語よりさらに多い複数の言語に日々接しながら暮らしている人々がいます。そのような人々のことをマルチリンガルと言います。一つの言語をメインにして暮らしているモノリンガルからすると、バイリンガルやマルチリンガルの人々が一体どうやっていくつもの言葉を学ぶのかと思うかもしれません。しかし、子どもには自然に生活環境にある言葉を習得することができる力があるので、多言語環境にいる人々にとっては、バイリンガルであることは特別なことではないと考えられています。 「バイリンガル教育」のクラスでは、バイリンガルの言語や文化の習得に関する応用言語学の理論とバイリンガル教育の方法、日本と海外のマルチリンガル教育の現状について学びます。本学には、国際結婚家庭などで、家庭で日々日本語以外の言語や文化に接している学生や、海外生活を通して異文化接触の経験がある学生が少なくありません。授業の中では、多様な経験を持つ学生の話を共有し、バイリンガルについてより具体的に理解できるようにしています。 学生は、この授業を通して、バイリンガルとモノリンガルの発達の違いや特徴、教育方法が理解できるようになります。また、自分自身の英語学習や多言語環境にある人々の言語とアイデンティティなど、バイリンガリズムに関する問題についても専門的な知見を用いて分析し記述できるようになっていきます。
[caption id="attachment_4969" align="alignright" width="300"] サービスラーニング活動風景[/caption]バイリンガリズムとその教育に関わる体系的な知識を得た学生は、自らの学習に役立てるのみならず、地域社会で外国に繋がる人々に対する日本語や教科の学習支援をするサービスラーニング(ボランティア)活動にも役立て、言語、文化、アイデンティティ等の問題を理解した上で、充実した教育支援を行っています。また自らが発見した課題をゼミナールでの研究論文のテーマとして追及する学生もいます。
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